どこかに移動する物語を集めた短編集です。「あなたと、どこかへ。 eight short stories
 参加している作家は、吉田修一、角田光代、谷村志穂など総勢8人合計8編。どれもこれも好きなんですが、特に好きなのは次の二つです。

 まず、吉村修一「乙女座の夫と蠍座の妻」。
 時間にきっちりしていないと気がすまない主人公(乙女座の夫)と、周りを気にせずマイペースに生きている妻の物語ですが、この妻がまた可愛いというか憎めないというか。きっと主人公からすれば苛々することもあるのでしょうが、それでもたまに妻にのせられているあたり、二人仲良しだよなあと思ったり。
 結局、妻とは約束して行動しないようにして、こちらの行動に気が向けば妻が現れるといった感じに。ほんと、マイペースでふらりと行動する妻が可愛くてしょうがないのです。
 それに、ちょうど私の彼氏が乙女座なので、主人公のことどう思う?と読ませてみたら多々共感する点があるようで。
 この物語をきっかけに私も意外とマイペースで彼氏がそれなりに楽しい苦労をしていることを知れて面白かったのでした。

 次に石田衣良「本を読む旅」。
 これは、もう単純に憧れます。主人公は仕事が煮詰まってきたりすると時間を取って本を読むためだけの旅行に出掛けるのですが、7~8冊、買ってストックしておいた本を選び出して持って行って、ひたすら読書に過ごすなんて、なんと素晴らしい旅なのでしょうか!自分でもやってみたいと思いましたもの。
 そうそう、読書とは関係ありませんが「自動車はのってしまえば、室内しか見えないのである」と、自動車の外見やフォルム、種類より中の居心地の良さを優先させる考え方にはああ確かにと納得しました。


あなたと、どこかへ。 eight short stories
  • 片岡義男_::_甘糟りり子_::_林望_::_谷村志穂_::_角田光代_::_石田衣良_::_吉田修一_::_川上弘美
  • 文藝春秋
  • 1100円
Amazonで購入