子供の頃、いつの間にかやってきて、成長とともにいつの間にかなくなる妙な生き物たちとの思い出を静かに話すという物語です。「パレード」。
 舞台自体は動かないのですが、それはさておき、物語本文よりもあとがきの方が印象的でした。

 というのもこの物語、『センセイの鞄』のスピンアウトなのです。

 著者いわく、世の中に起きる事件や事故と同じように、物語も、書き終わってしまえばその世界はそこで終わり、古くなっていきます。しかし本当は、その世界の中でとはいえ、登場人物たちは生きており、世界も続いている。一度完成させた物語にも、書ききれなかったエピソードや出来事が起きているはずだと。『パレード』は『センセイの鞄』の主人公が、センセイの家に遊びに行ったある一日を綴っているというわけです。

 もともと連作短編が好きなので、一つの舞台で違うエピソードを綴るという行動自体が好きです。