世の中にどうしようもない不条理が存在し、まかり通るのは、実は世界を作った神様が思春期の少年だったから!というとんでもないアンサーを提示してくれる娯楽小説「神の名はボブ」。書名にもある「ボブ」はその神様の名前。地球を作ったのは彼であり、彼に似せて作られた人間たちがはびこるゆえに世界は、地球は不条理に溢れているというわけです。

 この不条理、面白い点は、自分自身、つまり人間自身にも時に牙を向くこと。手っ取り早く言えば「自業自得」。物事を深く考えずその時の思い付きで、もしくはその場しのぎで対応するとどういうことになるのかよく判りますね。

 とまあさんざんこきおろしてきましたが、ここで本題に入りましょう。

 主人公のボブ、もしかしたら近い年頃の子であれば十分に感情移入できるかもしれませんが、ある程度は大人になってしまった私からすれば、青臭いどうしようもないガキでしかありません。なまじっか世界創造という大きな力を得てしまったがゆえに、彼のわがままは加速するばかり。彼の補佐役にと派遣されたミスターBの苦労に同情を禁じえません。私だったら絶対こんなの放り出してる(それができない点がまた、歯痒いのですが!)。

 一方で、ボブについて唯一可哀想だなあと思うのは、母親の存在。過干渉かつ、息子を自分のものと信じて疑わない傲慢さ。とはいえ、親は少なからず子供にそうあってしまうものだし、反省どころか気づきもしない点は母の短所とはいえ、ボブも突っぱねる以外の方法で乗り越えてほしいと思うところです。

 ボブの成長物語ではないのですけどね。

 ボブの青臭さが全編通して鼻につきますが、それを除けば十分に面白い物語でした。


神の名はボブ
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書評